なぜ?日本人は子音の発音が崩れるのか?
通じる中国語を話したいなら、母音を大きな声で発音しましょう!「你的发音很好听懂。あなたの発音は聞きやすいです」と褒めてもらえるでしょう。
訛りのないスタンダードな中国語発音になりたいなら、子音を正しく発音しましょう!そうすれば「标准/biāozhǔn」と褒められます。「你的发音很标准」はあなたの発音は正しいですという意味です。
以前中国人の友人に発音の確認をお願いしたことがあります。このようなラインが帰ってきました。「我觉得你的朗读越来越好,发音很标准,速度也很快,越来越舒服的感觉。」発音が標準で聞きやすいと褒めてくれました。
私は会話の時中国人にそれほど褒められません。原因はおそらく、私は声調に自信がないので、母音と声調のメリハリが弱いため、上手には思われていないようです。教室の講師に指摘されたこともあります。
ただ子音はそれなりのトレーニングをしたので、「可以,可以!/Kěyǐ kěyǐ!」なんて言った時は、中国語上手ですねと褒めてもらえました。「kě」という子音の発音が目立つ、簡単な言葉でしたので、ボロがでなかったのでしょう。
別のエピソードをご紹介します。
とある生徒様の一例です。遠方の方で中国語の教室がない地域のかたです。地元には中国人の先生がいて子供たちを集めて中国語を教えています。ほかに教室がないので、その生徒さんはそこに通いました。
すこし年配の先生で、日本語が上手ではないので、中国の小学校で行われている練習方でピンインを教えてくれます。小学校の授業のように、子供たちと一緒に唱和して声に出して練習しました。
ユーチューバーの李姉妹が紹介した「破壊と構築」の方法です。
この方法をee!chaiでは、創業の初めからおこなっています。
ただテキストの新出単語を読む際に行うだけで、グループでこのピンイン練習だけを徹底して行うことはしておりません。
その生徒さんは会話を学ぶために、知人からうちのオンラインを紹介され、習ってくださいました。講師がびっくりしたのはピンインの知識はそれほどないのに、その生徒さんの発音は「标准/biāozhǔn」だったからです。
会話練習に入って、発音を修正する必要がないので、進歩は早く、講師もその中国式ピンインレッスンの効果性が高いことに改めて気づきました。
中国式ピンイン練習方は別に目新しいものではありません。日本のテキストでも、bpmf・dtnlの子音の発声法は必ず記載されています。YouTube動画でもネイテイブの先生たちが模範発音を添えて、丁寧に発音の仕方を教えてくれています。
でもあることが見過ごされています。
何でしょうか?
中国人が小学校で習う中国式発音練習を詳しく見てみましょう。
無気音「b」の練習方法です。子音「b(o)」に単母音「a」です。最初に子音の「b」の唇のフォームをきちんと作って、発音の確認をしてから、後で単母音「a」に変えて発音します。
音声だけ聞いていますと、日本語と違いはそれほどないように感じます。でも発音の仕方を子音と母音に分解してみますと、違いが見えてきます。
まずb「無気音」の発音の仕方です。
中国語発音完全教本p62。アスク出版からの引用です。
【口の構え】両唇を固く閉じる。
【発音】両唇を離すと同時に"o"。息を前に吹き出さず静かに「ブォー」というイメージ。
ユーチューバーの李姉妹の最新の本からも紹介します。
引用:李姉妹と「基礎から中国語」㈱KADOKAWA
❶ 唇に力を入れながら強く閉じて、気流を止める。
❷ 唇を勢いよく離して溜めた気流と一緒に「b」と「o]
の音を同時に軽く、短く出す。舌はやや後ろに引く
❸ 「ボ」と「ポ」の間の音のイメージ。
ポイントは唇を固く閉じ、とありますからまずきちんと固く結ぶ構えがあって、そこから両唇をパッと離す際に音をだしますが、無気音ですからあまり息はでないように静かに発音します。
下記はb・p・m・f の模範音声と唇の形の画像です。
https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/douga/chinvu-bpmf.mp4
♫ 「b」の唇の結び方が日本語よりきちんと結んでいます。日本語では軽く一瞬です。
次のような解説です。
一言で極論すると、日本語は「母音優先」ですが、中国語は「子音優先」の言語です。 中国語を発音するときは子音の部分をゆっくりめに発音するよう心がけましょう。
日本語では、ほとんどの子音は「一瞬の小爆発」です。ところが中国語では、子音は時間をかけてゆっくりと発音します。日本語の子音のように、一瞬のうちに短く発音してはなりません。
https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/chinvu3.html#03
明治大学、加藤徹先生「発音教材」から引用
日本語で「ば」と発音する時は唇の構えは最初から母音の「あ」の形になります。無気音にしようと意識しますと、子音の唇の閉じ方は一瞬ですから、多分唇を離す際に「パッと離す感じがなく」弱弱しい濁音の「バ」になってしまいます。中国語の無気音の「ba」とは違う発音です。
日本語と音は似ていても、このようにピンインの発音の仕方は違います。
♫ 「b・p・m・f」の唇の結び方とその後の声門を開いて母音につなぐ感じは、ですから講師について、子音・母音と分解してきちんと練習する必要があります。
このことを念頭において、李姉妹の「破壊と構築」での発音の仕方にも注目してみましょう。
上記の「発音上達!おすすめ練習方」の5分15秒から5:30秒あたりをもう一度ご覧ください。

ピンインの「Kǎo/考(試験を受ける)」とローマ字の「 kao/顔」の同じ子音「k」の発音の仕方の違いに注目してみましょう。
♫ 動画でも説明していましたが、ピンインの「k」は発音する際は「K(e)」です。それに複母音の「ao」を三声で連結します。
♫ 他方日本語では 「ka/カ」です。口の開き方は「ア」で子音の「K」を載せて一体化しますから「カ」になります。
ですから李お姉さんの「Kǎo」は「k(e)」の口のフォームからスタートして「ǎo」を瞬時に連結しています。
日本語耳で聞くとどちらも「カオ」に聞こえますが口の動きは違います。このことをはっきり意識する必要があります。
子音を正確なフォームで発音せずに、例えば「K(e)」の音声を日本語の「カ」のアという口の形で発音したりしますと、子音のフオームが崩れた発音になってしまいます。
ですので、なぜ?日本人は子音が崩れるのか? 答えは次のことが原因です!

日本語は母音優先の発音だからです!
中国語で「标准」レベルの発音になるには子音のトレーニングがカギです。
中国人は李お姉さんが動画で言っていたように、小学生の時に、
「破壊」して子音を目立たせ「構築」で母音と連結させる練習を死ぬほど行います。
子音は母音とは別にして子音の練習を目立たせますから、頭の中で「破壊」という子音・母音の分離を徹底して行います。一瞬で子音の正確な発音ができるようになるトレーニングです。
その後「構築」で母音と声調を連結して音節を完成させます。

中国語は子音優先ですから、子音のフォームが正確にできていませんと、中国語で言う「标准」発音ではなくなってしまいます。
♫♫ でも発音のスタート時点では子音に「フォーム/構え」はあってもそこで音声を発しているわけではありません。子音のフォームはそのままに、発音すべき母音を連結して一体化して瞬時に発音し、声調が母音に付いていますので母音を明瞭に発音します。
ですので、結論は次のようになります。

♫♫♫ ピンインで、子音はフォームを意識して丁寧にきちんと発音しましょう。母音は子音の影響を受けますから、子音に合わせます。声調のついた母音は特に明瞭に発音しましょう。
日本のローマ字は子音と母音の一体化で発音します。母音が優先ですから、母音の口の開き方が良ければ、きれいな日本語になります。

ちなみに、このピンイン教本では「中国語の子音優先」を柱にして記述しておりますが、このことは、加藤徹先生の「中国語発音教材」の広島大学時代からのWEBサイトの教材を通して学ばせて頂きました。
そして中国式ピンイン練習を知った時に、私が学生時代に学んだ日本語の母音法との違いに強い印象を受け、「中国語の子音優先」の練習方がまさに子音優先のトレーニングであると理解して、教室でのピンイン習得法として取り入れてきました。
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