
ユーチューバーの李姉妹が「破壊と構築」と名付けて紹介した「拼读pīndú」によるレッスン方法は英語のフォニックスの中国語版のようなものです。
どちらもアルファベット表記ですがアルファベットの読み方とは違います。もちろん日本のローマ字読みとも違います。
英語圏の子供が英語を学ぶ際にフォニックスを使うように、中国人の子供たちも自分たちが普段しゃべる中国語の正しい発音のルールをピンインで学びます。
中国式ピンイン学習法と中国語の発音記号・ピンインがどのようなものか?はまず前回2回のスタートアップ記事からご覧ください。
あるいは、この同じブログの【 本課前書き-1 】 【 本課前書き-2 】 をご覧ください。
1課:母音、まずは単母音
1:日本語と中国語の単母音の違い
日本語(ローマ字): a
i u e o
中国語(ピンイン): a
e o i u ü
ピンインの6個のうち5個は日本語と同じアルファベットです。
違うのは見かけない「ü」だけです。
「なーんだ!日本語とほとんど同じじゃないか!」
そうなんです。でもそれぞれ少し発音に差があります。
「では、その差が分かれば簡単だ!」
そうです!違いが分かれば難しくありません。
ということで、最初からその「違い」に焦点をあてます。
ちなみに母音は中国語で韵母yùnmǔと言います。子音は声母shēngmǔです。中国語の漢字では母音も子音も「‥母」です。
中国語韵母yùnmǔは「単母音 a
・ e ・o 」と「二重母音 ai
ei ao ou そしてnのつく鼻音an
en ang eng ong」の合計12が韻母です。
★ 中国語の母音(韻母)には日本語にはない複母音があります。上記のような二重母音や鼻音が複母音として登場します。
・では中国語の韵母yùnmǔの韵yùnは?
韵母yùnmǔの韵yùn は 音の調和や響きの意味があります。中国語では、句や短文、詩の中で母音の組み合わせが重要で、韻母の選択や韻律の配列が文のリズムや響きを作り出します。韻を踏むという日本語と同じですね。
母の字よりも韵母yùnmǔの韵yùnに注目して頂いた方が今後の発音では「中国語の母音の重要性」などで意味を持ってきます。
・発音練習に最適な練習歌
発音練習に最適なのはこの韻を踏んだ文章です。練習素材を取り上げる際そのことも考慮しています。歌のようなリズム感もあるので会話とは違うという印象もありますが、中国語本来の語感やイントネーションに慣れ、その後の発音に大きな影響を与えます。
・声母の母
子音は声母shēngmǔと言います。母音ではないのに「母」が使われると母音と混乱しそうですが、この「母」は子音は音節の最初に置かれるので、音節の「始め」という意味での「母」です。
声の最初にくるから声母shēngmǔというのは日本語イメージではピッタリ来ません。でも、音節の最初だからあえて「声母」というからには、中国語の子音の役割は日本語の子音の役割とは違いそうだということは頭の片隅に置いてください。
■ a o e ・ i u ü
中国の小学校での教科書のピンインの単母音です。


「a o e と i u ü」 で 二つのグループに分けられています。
a o e と i u ü の発音の違いは口の開け方です。
a o e は 口の開きが大きく、 i u ü は半母音と呼ばれるくらいですので、口の開きがすこし小さめという違いがあります。

母音の練習に入る前に、母音と子音の口の中での役割を見ておきましょう。
■ 母音と子音のメカニズム
子音と母音の違い。機能面に焦点を当てれば、
母音:口腔内で空気の流れが妨げられずに発せられる音。
喉の使い方と唇の開き方それに伴う舌の位置
子音:口腔内で空気の流れが妨げられて発せられる音です。
口の開き方に加え、舌の使い方、息の出し方など
そうしますと、母音は喉で音声を発する有声音で、唇のすぼめ方、突き出し方が特徴です。「母音は音が出し易い」となります。
※ 母音は喉(声帯)で音声を発する有声音で、唇のすぼめ方、突き出し方、そして舌は前後の位置関係で音が違います。
※ 有声・無声の違いは日本語・英語にはありますが、中国語にはありませんので、中国語母音がすべて有声かどうかは決めつけられません。喉を触って、振動して声がでていれば有声音で、喉が震えなければ無声音です。無声音でも息はでています。「ハーッ」です。
子音は舌で空気の流れを妨げて「音を作るため調音が重要」な機能で、無声・有声もあり複雑そうです。
★ 母音は音が良く出て、声が通る!
★ 子音は音を作る調音!に注目!
中国には母音・子音別に口の動きを解説した教師向けの図が沢山あります。この記事の最後に舌の図と解説を補足で記載しています。

■ 単母音の解説
今回と次回2課で中国語の単母音を取り上げます。
まず母音の特徴から発音のポイントを掴んでください。
母音は喉の使い方と唇の開き方それに伴う舌の位置が関係します。まず唇の開き方で、中国語の母音の特徴に注目してみましょう。
母音は中国語では二つの言い方があります。
1.元音yuányīn
発音の仕方で言い表したのが元音yuányīnです。
呼気が口腔で通路を妨げられずに発する音であるということを強調して
います。子音は辅音fǔyīn)。
2.韵母yùnmǔ
ピンインの構造の切り口で表現したのが韵母yùnmǔです。
声母と韵母でピンインは成り立ちます。
声母(頭子音)そしてそれ以外の部分が韵母で、そして韵母は韵头・韵
腹・韵尾で構成されています。
ピンインの構造のところで詳しく扱います。
ようやく登場しました!元音yuányīn です。これが日本語の母音のイメージと重なってきます。ちなみに子音は「辅音fǔyīn」補うという字を使っていますので、日本語と同じイメージです。
中国には母音・子音別に口の動きを解説した図が沢山あります。と述べましたがこの解説でも母音を元音yuányīnとして説明しています。中国人のピンイン教師の教え方動画も載せます。そこでの教師たちは母音を元音と言っています。
単母音 a o e の発音
日本語の母音とアルファベットが同じ「a
・ o・e」 です。
似ているがゆえに要注意!です。
百度に載っていた日本人向け講座からの引用です。ポイントを良くついています。ただこの説明だけではどのように発音すべきかのフォーム全体の詳細は掴めません。

■ a o e の 発音解説
母音は音が良く聞こえることが大切です。伸び伸びと大きな声で発音しましょう。

■ a の発音
日本語との違いで理解したほうが分かりやすいです!
1. 口の開け方。
嘴巴要张大/Zuǐbā
yào zhāngdà。口をできるだけ大きく開けます。
「あ」と発音するときのような形ですが「あ」よりも、大きく開けます。
そして日本語よりも声量を増やしましょう。
2. 次のフレーズで口に出してみましょう。
张大嘴巴 Zhāngdà zuǐbā
a a a (口を大きく開けて a a a)
■ o の発音
1. 口の開け方
口を丸く開け(半開き)、「お」と発音する時のような形です。でも
「お」より唇を丸く少し前に突き出します。
2. 口をやや開けたままにして、のどの奥から「o ~♪ 」そして
公鸡一叫 gōngjī yī
jiào o o o (雄鶏が突然 o o oと鳴く)
圆圆嘴巴 yuányuán zuǐbā, o o o(口をちょっと丸くしてo o o)
注意点
「o」の発音は中国語の「u」の発音と「唇を丸く前に突き出す点が」非常に似ていますが、「o」の方がより丸みがあります。つまりすぼめ方に違いがあります。この点は次回「u」の発音で再度取り上げます。
「o」は「o」 です! 複母音を知っている方は「ao や ou 」にならないように。
※ この「o」の発音は中国でもいろいろな見解があったようですが、今は定説になりつつあるようです。中国語の動画があります。見ているだけでも、何となく理解はできますので、補足3で動画を載せておきますので興味があるかたは頑張ってご覧になってください。
■ e の発音
e はアルファベットの「 e/イー」 もしくはローマ字の「e(エ)」で発音してしまいがちですが、全く違います。
1. 口の開け方
日本語の「え」の口でポカンとさせて、「え」ほど広くはありません。
口を半開きの状態にし、下顎をやや下げます。
2. 口をやや開けて頭で「 オ ~♪ 」と発音します。でも「お」ではあり
ません。次のフレーズで口に出してみましょう。
扁扁嘴巴 biǎn
biǎn zuǐbā e
e e (口をちょっと横に平たくしてe e e)。
ガチョウ【鵝鳥】の 鹅é なので、ガチョウのイラストがあります。
唇の力を抜いてポカンと開けておくのもポイントです。
声調については3課で行います。
「a o e」の主母音の中国での動画をご覧ください。汉语社のチャンネル、懂老师です。このチャンネルのメインは书法で、拼音の動画はこの記事で紹介した二つしか公開されていません。何度でも繰り返し見て聞いて慣らしておいてください。
★ 同時に講師の口や舌もよく見えますので、観察なさってください。
画像にあるこの口ずさむフレーズは主母音「a o e」ではよく使われるものです。
中国では暗記をするとき「熟悉口诀巩固发音 shúxī
kǒujué gǒnggù fāyīn」という練習法が良く使われます。発音のためのフレーズを繰り返し口ずさんで覚える方法のことです。
※「熟悉 (shúxī)」は「熟知している」、「口诀 (kǒujué)」は「口訣こうけつ/口伝くでん」ですので、熟悉口诀は特定の音や音声パターンを反復して口に出して熟知し、「巩固
(gǒnggù)」は「強化する」ですからそのようにして発音を強化しようという意味です。
■ 拼读のキャッチフレーズ
前書き-1で紹介した三拼音节的拼读の読み方キャッチフレーズです。
拼读口诀 Pīn dú kǒujué.
拼读でつぶやきましょう。
※口诀 kǒujué.は口ずさんで覚える九九のような言葉のことです
声轻 介快 韵母响Shēng qīng jiè kuài yùnmǔ xiǎng.。
声母(頭子音)は軽く、介音(半母音)は素早く、韻母(母音部分)は響かせて、
※声母は音節の最初の子音。响は響くです。
三音 连读 很顺当Sān yīn lián dú hěn shùndang。
3つの音を繋げて読めばとてもスムーズ。
※三っつの音とは声母+介母+ 韵母の事です。
「a o e 」の発音はここまでです。次回は中国では介母と呼ばれる「i u ü」 です。
■ 単語短文練習
まだピンインは始まったばかりですが短文も発音してみましょう。母音を意識して発音しましょう。

-
天 地 人 t|iān d|ì r|én 天 地 人
-
你 我 他 n|ǐ w|ǒ t|ā あなた 私 彼
天は日本語では空(そら)や宇宙を想像します。天地人と並んでいますから、多分天と地と人そして続くのが「あなた・私・彼」ですから、こんな短文を国語の教科書で子供に教える、中国的世界観が漂ってきますね。
なお中国語の天で日本語と違う意味で使われるのが日という意味です。
今天jīn
tiān(今日)明天míng
tiān(明日)昨天zuó
tiān(昨日)天天tiān
tiān(毎日)
そして天の字は日本語では上の横棒が長いですが、中国語の天は上の横棒はその下の横棒よりも短くなります。
■ 発音練習の最初のうちの習慣として、こんなこともお勧めです。
★ しばらく母音と子音の区切りをマークします。
頭の中で母音子音をきちんと区切る習慣をつけてください。
日本語ローマ字から脱却するために、重要な練習だと理解してください。
右側のページの説明は次回3課で行います。
■ 発音で日本語とどこがどう違うか
安易なピンインに対する理解がローマ字読みの影響から抜けだせない要因になっていることをご理解いただければ、今後の皆さんの中国発音が劇的によくなる第一ステップになることを確信します
中国のピンイン練習のインターネットの学習素材は中国語の生の味そのものです。初めて学ぶとき、日本語からの翻訳された中国語ではなく、どうぞこの生の中国語を味わってください。韻の音で中国語に接する経験は今後の中国語発音の感性を養う大きな経験になります。
同じ教科書の補助教材を提供している知呼のサイトを紹介します。どうぞ直接ご覧になってください。
■ 次回は介音「i u ü」の練習です。
中国の動画は生の材料だと思ってご覧ください。日本語はありませんが練習方法は拼读を体現していて、迫力があって記憶に残ります。
また他の日本人の先生の動画も補足でご紹介します。それは日本人向けでありながら、それぞれがオリジナリティのある切り口でピンインを教えていて、中でも教材として質の高いものを取り上げています。
補足1:フォームで理解する発音
YouTube上で大変上手な教え方をしている日本人の先生の動画を紹介します。
ネイティブスピーカーの中国人の先生にとっては身体で身に付けた発音ですから、どう発音したら良いのかをアタマで理解してはいません。ましてそれを日本語で解説するのは難しそうです。
日本人の先生はアタマで考え、練習して身に付けましたから、唇・口の開け方・舌の使い方など音声を出すフォーム分析がしっかりしていて、そのため教え方が具体的です。
なかでもこちらの先生の教え方は秀逸!です。参考になさってください。
中国語の発音と基礎力養成に定評のある「アジアのことば教室」主催の稲葉あきこ先生です。
■ a と e の発音:「a] と「e] の二つを反復練習!
「a」 の発音の日本語「あ」との違い、そして日本語の「え」とは全く違う「e」、ため息をつくような「e」は適切な教え方です。ee!chai では「ポカンと口を開けて喉の奥から音を出す」と教えますが、リラックス系の発音の指摘もいいですね。
o と u ・ i と ü(ウムラウト) は次回で「i u ü の発音練習」を行いますので、そこで取り上げます。
補足2:母音の舌位置図
今回は母音に関する舌の位置図を紹介します。これは口の中の母音のフォームを理解する際の、中国のピンイン教師たちが使う図の一つです。国際音声記号IPAを中国語に適用したもののようです。

この図は皆さんには必要ありません。ただ唇の形や舌の位置、使い方のもとになっているのがこの図です。
この図をもとにして、ピンインの教師は「「i」の発音は口の形は横に引いて、舌は舌を前方に持っていって発音します。舌の先端は下歯茎の後ろの位置にあります。」と説明します。
発音の説明の原資料ですので、参考にご覧になってください。
この資料を覚えるのではなく、何より実際の先生の発音をよく聞きながら、口元を観察なさって下さい!そして声に出してみましょう。音が合わないなら、先生の口とどこが違うかさらに目で見て、目と耳とそして口で調整しながら覚えましょう。
■ 唇の開き方:圆唇元音yuánchún yuányīnと不圆唇元音`bùyuánchún yuányīn
「漢語拼音舌面单元韵母舌位图」の図にある舌面单元韵母とは、発音時に舌の位置が重要な要素となる母音のことで「a o e i u ü」を指しています。
そして発音時の舌の位置と唇の形によって生じる音素の特徴を舌位置図に表しています。
圆唇yuánchúnは円唇つまり唇をすぼめて丸くすることです。圆唇元音yuánchún
yuányīn、は唇を突き出して丸くして発音する母音を指します。普通話の「o u ü」がそれに該当します。
他方不圆唇は唇が丸まらず、平坦な形状を保ったまま発音されることが特徴です。「 i e」は不圆唇です。

ですので、母音の発音で「唇を丸める」「丸くしてすぼめる」は重要な口の形のフォームになります。
■ 舌の口の中の位置も母音の音素の重要な一つです。
舌の位置関係は母音でも重要ですが、子音を発音するときの舌の使い方のように、息をふさぐようなものではありません。
母音での舌は位置(高低・前後)や舌を盛り上げる隆起が音声の変化に関係します。
母音では唇や声の出し方に注意が払われますが、舌の使い方は子音のようには注目されませんので、見落としがちです。でも重要な要素でもありますので、フォームの要素として練習の際、注意を払ってください。
補足3:拼音 o 的正确发音解密。ピンイン o の正しい発音解読
语言训练小洁老师 yǔyán xùnliàn xiǎo jié lǎoshī
とっても人気のあるピンイン教師です。この先生の発音は聞いているだけでも勉強になりますよ。
単母音の発音の原則は下記です。これが答えです。

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