通じる中国語発音は母音から!ピンイン拼读!1課・主母音 a o e

 

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このNoteの記事は「学習用テキストタイプ」です。中国語発音をきちんと学びたい方向けです。

動画で学んでいる方には知識面の補強になります

何を学べるかを最初に「学習のポイント!」で紹介します。

本課の内容は「これだけは学んでおこう!」と「こんなことも学んでおこう!」の二つの構成です。基礎知識と普通のテキストや動画で教えていないものを分けてとり上げています。

そして各課で学ぶ発音が関係する短文を最初にご紹介します。中国の文化や教育の背景にある世界観を知ることができます。

天地人

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天 地 人    t|iān   d|ì    r|én     天  地  人
你 我 他 n|ǐ  w|ǒ   t|ā   あなた 私 彼

ピンインは「音節に基づいて読む」ことがピンインの正しい読み方です。そして音節の構造は子音・母音・かぶせ音素の声調です。ピンインを見た時に子音・母音の区切り目がどこかを瞬時に見分けられるようにしましょう。

※ それで母音と子音の区切りを上記のようにマークしました。頭の中で母音・子音をきちんと区切る習慣をつけてください。日本語ローマ字から脱却するための重要な練習です。子音と母音を必ず分離させて発音をする習慣をつけてください。

天は日本語では空(そら)や宇宙を想像します。天地人と並んでいますから、多分天と地と人そして続くのが「あなた・私・彼」ですから、こんなことを国語の教科書で子供に教える、中国的世界観が漂ってきますね。

なお中国語の天で日本語と違う意味で使われるのが日という意味です。
jīn tiān(今日)明míng tiān(明日)昨zuó tiān(昨日)天tiān tiān(毎日)

そして天の字は日本語では上の横棒が長いですが、中国語の天は上の横棒はその下の横棒よりも短くなります。


この課のポイント!

拼读ピンドゥーの練習法は「子音・母音を分解して、音節に基づいて再構成して併せる」という方法です。

中国語の子音は発音のきれいさに関係します。日本人にとって、日本語では子音独自の発音をするという経験がないので、子音の練習の重要さはピンときません!でも中国人はピンインの発音で子音の猛練習をします。

母音は逆に日本語も中国語も同じような発音!ですから、難しくありません。ただ日本語では単母音しかありませんが、中国語には複母音という単母音組み合わせて一つの母音にするものがあります。日本人には初めてのタイプの母音の体験です。

★ 「通じる」という点では、中国語発音で母音は重要です。中国人の先生はみんな言います。「母音を大きな声ではっきり発音しましょう」それは相手とのコミュニケーションでとても重要なことだからです!

ということで、まず最初の本課の3つで単母音とその母音に付く声調を学びます。この部分では、併せる子音が登場しませんので、拼读ピンドゥーの練習は紹介程度です。


これだけは学んでおこう!

主母音 a o e

■ 語文教科書のピンイン a o e

中国の小学校での教科書のピンインの単母音です。
「a   o  e   i   u ü」 で 二つのグループに分けられています。

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a o e 声調符号もついています
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i     u  ü

日本語と中国語の単母音の違い

日本語(ローマ字):  a    i    u    e     o
中国語(ピンイン):  a    e   o     i     u  ü

ピンインの6個のうち5個は日本語と同じアルファベットです。
違うのは見かけない「ü」だけです。

同じアルファベットですが、当然中国語と日本語では発音に違いがあります。

中国語では同じ単母音でも a   o  e と i    u ü はいろいろな面で扱われかたに違いがあります。

大きなの発音の違いは口の開け方です。

中国語では a   o  e は口の開きが最も大きく主母音という扱いです。 i    u ü は半母音と呼ばれ、口の開きがすこし小さめという違いがあります。

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この課では a   o  e をとりあげ、次回で半母音 i    u ü を扱います。

■ a   o   e  の 発音解説

★ この三つには必ず声調符号が付きます。上の画像に声調付があるのはそのためです。
  
※ 単母音は組みあわせて複母音になります。その際この主母音が含ま
    れているなら、この主母音に声調符号をつけます。詳しくは3課声
    調で取り上げます。

★ 母音は音が良く聞こえることが大切です。伸び伸びと大きな声で発音しましょう。母音の役割は「拡張」で説明します。

では実際に中国の動画で「a o e」の主母音の模範発音の教え方をご覧ください。汉语社のチャンネル、懂老师です。

★ 講師の口や舌もよく見えますので、観察なさってください。
特に口の開け方と舌の位置に注目してください。

舌の位置はこの章の「拡張」で、国際音声記号IPAを中国語に適用した舌位置図を記載します。参考にご覧ください。

中国語でピンインの分類は
① 单韵母(単母音)a   o  e と i    u ü そして er  そり舌母音
② 声母(子音)③复韵母(複母音)単母音を二つないし三つの組み合わせ
④ 鼻韵母  単母音にn ng を組み合わせ
となっていて、この動画では a   o  e の主母音と声調の模範発音です。

下記の組み合わせでの練習を担当講師と一緒になさってください。
a-o-e     o-e      e-o    

■ a の発音 

口型画像 a

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a

日本語との違いで理解したほうが分かりやすいです!
1.     口の開け方
  嘴巴要张大/Zuǐbā yào zhāngdà。口をできるだけ大きく開けます。
 「あ」と発音するときのような形ですが「あ」よりも、大きく開けます。
  そして日本語よりも声量を増やしましょう。
2.    舌の位置
   中央で低い位置
3.张大嘴巴 
Zhāngdà zuǐbā  a a a (口を大きく開けて a a a)

◆ a を音節にした意味ある漢字でのトレーニング

中国語の音節は通常「子音+母音+声調」の三つの音の要素の組み合わせで成立します。しかし母音「母音+声調」でも音節になり漢字が成立します. 爱(愛)ài は ai の複母音に四声の声調を付して、音節になり漢字が成立しています。                           
単母音と声調でも音節が成立し漢字になります。この練習は声調の課で行いますが、代表的な漢字だけ練習してみましょう

á (啊) 感嘆詞として使われ、驚きや納得を表現する際によく使います。
à (啊) 感嘆詞として使われ、驚きや納得を表現する際によく使います。

■ o の発音

口型画像 o

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o

「o」の発音は中国語の「u」の発音と「唇を丸く前に突き出す点が」非常に似ていますが、「o」の方がより丸みがあります。つまりすぼめ方に違いがあります。この点は次回「u」の発音で再度取り上げます。

1.     口の開け方 
  口を丸く開け(半開き)、「お」と発音する時のような形です。でも
 「お」より唇を丸く少し前に突き出します。
      口をやや開けたままにして、のどの奥から「o ~♪ 」
2.   舌の位置 
   奥で高さは中ほど
3.公鸡一叫 gōngjī yī jiào o o o (雄鶏が突然o o oと鳴く)
  圆圆嘴巴 
yuányuán zuǐbā, o o o(口をちょっと丸くしてo o o)

注意点
「o」は「o」  です! 複母音を知っている方は「ao や  ou 」にならないように。
※ この「o」の発音は中国でも以前は「wo」と発音する老師もいました。今は「o」は「o」の定説になりつつあるようです。「拡張」で中国語の動画を載せました。見ているだけで、何となく理解はできます。

◆ o を音節にした意味ある漢字でのトレーニング

ō(噢)了解・納得の意を表す感動詞
ò(哦) 納得・合点の意(おっ,そうだという気持ち)を表す感動詞.

■ e  の発音

口型画像 e

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e

e はアルファベットの「 e/イー」 もしくはローマ字の「e(エ)」で発音してしまいがちですが、全く違います。

1.     口の開け方
  日本語の「の口でポカンとさせて、「え」ほど広くはありません
  口を半開きの状態にし、下顎をやや下げます。口をやや開けて頭で「 
  オ ~♪ 」と発音します。

2.      舌の位置 
   奥で高さは中ほど
3.扁扁嘴巴 
biǎn biǎn zuǐbā e e e (口をちょっと横に平たくしてe e e)。  

ガチョウ【鵝鳥】の 鹅é なので、ガチョウのイラストがあります。
唇の力を抜いてポカンと開けておくのもポイントです。

◆ o を音節にした意味ある漢字でのトレーニング

é (鹅) ガチョウ
è (饿) 空腹や飢えを意味します。

◆ er  というそり舌母音は、声母(子音)と結合しないで単独の音節になる特殊な母音です。
※ なお er (儿)は nǎr (哪儿)、のようにnǎ哪の末尾について儿化音を作る場合もあります。

ér (儿) ěr(耳) èr(二)     

上記口型で紹介した音声もお聞きください。次回の i u ü もあります。
https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/douga/chinvu-aoeiuyuer.mp4

◆ 熟悉口诀 shúxī kǒujué

懂老师の画像と各発音の3.に記述した口ずさむフレーズは主母音「a o e」ではよく使われるものです。

中国では暗記をするとき「熟悉口诀巩固发音 shúxī kǒujué gǒnggù fāyīn」という練習法が良く使われます。発音のためのフレーズを繰り返し口ずさんで覚える方法のことです。
  ※「熟悉 (shúxī)」は「熟知している」、「口诀 (kǒujué)」は「口訣こうけつ/口伝くでん」ですので、熟悉口诀は特定の音や音声パターンを反復して口に出して熟知し、「巩固 (gǒnggù)」は「強化する」ですからそのようにして発音を強化しようという意味です。


こんなことも学んでおこう!

■ 母音と子音の役割

母音とは何か?子音とはどう違うのか?
こんなことも知っていますと、練習もし易くなります。

母音は喉の振動から生じる有声音です。つまり音声として聞こえるのが母音です。呼気の流れに乗っている音声が妨げられません。
※ 喉仏の裏あたりに声を出すと振動する場所があります。そこが声帯です。そこから声が発せられます。

子音はそのようにして呼気の流れに乗っている音声(母音)を舌や呼気の加減で調整をして、様々な音色の音声(子音)を作り出します。

喉の振動があって音声になりますから、子音と母音両方が揃って言語の音が成立します。母音はそれ自体で音声にもなっていますから、母音だけでも言葉になります。

ということは、子音だけでは人が聞き分けられる、言語の音声になりません。日本語も中国語も母音があるので、音声になります。

母音がはっきりしていないと、何を言おうとしているのか聞き取りにくくなります。そして声調によって同じ音声の単語の意味が変わりますから、母音がよく聞き取れるようにはっきりしませんと、意味が聞き取りにくくなります。

※ 子音は舌で空気の流れを妨げて「音を作るため調音が重要」な機能です。調音点と調音の方法があります。なにより子音には無気音・有気音という呼気の違いもあります。

母音と子音の違いを知っておいてください

■ 母音は日本語では「母音」一つですが、中国語では二つの言い方があります。

そこから中国では母音をどのように考えているのかが理解できます。
またそうした発音専門用語にも慣れておけば、中国のサイトの豊富なピンインのコンテンツも活用し易くなります。

母音は中国語では二つの言い方があります。
1.元音yuányīn
  発音の仕方
で言い表したのが元音yuányīnです。
  呼気が口腔で通路を妨げられずに発する音であるということを強調して
  います。
子音は辅音fǔyīn)
  

2.韵母yùnmǔ
  ピンインの構造の切り口
で表現したのが韵母yùnmǔです。
  声母と韵母でピンインは成り立ちます。
  声母(頭子音)そしてそれ以外の部分が韵母で、そして韵母は韵头・韵
  腹・韵尾
で構成されています。
  ピンインの構造のところで詳しく扱います。      

元音yuányīn が日本語の母音のイメージと重なってきます。ちなみに子音は「辅音fǔyīn」補うという字を使っていますので、日本語と同じイメージです。

中国には母音・子音別に口の動きを解説した図が沢山あります。と述べましたがこの解説でも母音を元音yuányīnとして説明しています。中国人のピンイン教師の教え方動画も載せます。そこでの教師たちは母音を元音と言って
います。

ちなみに母音は中国語で韵母yùnmǔと言います。子音は声母shēngmǔです。中国語の漢字では母音も子音も「‥母」です。

韵母yùnmǔの韵yùnは?

韵母yùnmǔの韵yùn は 音の調和や響きの意味があります。中国語では、句や短文、詩の中で母音の組み合わせが重要で、韻母の選択や韻律の配列が文のリズムや響きを作り出します。韻を踏むという日本語と同じですね。
母の字よりも韵母yùnmǔの韵yùnに注目して頂いた方が今後の発音では「中国語の母音の重要性」などで意味を持ってきます。

声母の母は?

子音は声母shēngmǔと言います。母音ではないのに「母」が使われると母音と混乱しそうですが、この「母」は子音は音節の最初に置かれるので、音節の「始め」という意味での「母」です。

声の最初にくるから声母shēngmǔというのは日本語イメージではピッタリ来ません。でも、音節の最初だからあえて「声母」というからには、中国語の子音の役割は日本語の子音の役割とは違いそうだということは頭の片隅に置いてください。

■ フォームで理解する発音

YouTube上で大変上手な教え方をしている日本人の先生の動画を紹介します。

ネイティブスピーカーの中国人の先生にとっては身体で身に付けた発音ですから、どう発音したら良いのかをアタマで理解してはいません。ましてそれを日本語で解説するのは難しそうです。

日本人の先生はアタマで考え、練習して身に付けましたから、唇・口の開け方・舌の使い方など音声を出すフォーム分析がしっかりしていて、そのため教え方が具体的です。
なかでもこちらの先生の教え方は秀逸!です。参考になさってください。

中国語の発音と基礎力養成に定評のある「アジアのことば教室」主催の稲葉あきこ先生です。

■ a   と   e の発音:「a] と「e] の二つを反復練習!

a」 の発音の日本語「あ」との違い、そして日本語の「え」とは全く違うe」、ため息をつくような「e」は適切な教え方です。ee!chai では「ポカンと口を開けて喉の奥から音を出す」と教えますが、リラックス系の発音の指摘もいいですね。

o  と  u ・  i   と ü(ウムラウト) は次回で「i  u ü の発音練習」を行いますので、そこで取り上げます。

■ 母音の舌位置図

母音に関する舌の位置図を紹介します。これは口の中の母音のフォームを理解する際の、中国のピンイン教師たちが使う図の一つです。国際音声記号IPAを中国語に適用したもののようです。

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この図は皆さんには必要ありません。ただ唇の形や舌の位置、使い方のもとになっているのがこの図です。

この図をもとにして、ピンインの教師は「「i」の発音は口の形は横に引いて、舌は舌を前方に持っていって発音します。舌の先端は下歯茎の位置にあります。」のように説明します。

発音の説明の原資料ですので、参考にご覧になってください。

何より実際の先生の発音をよく聞きながら、口元を観察なさって下さい!そして声に出してみましょう。音が合わないなら、先生の口とどこが違うかさらに目で見て、目と耳とそして口で調整しながら覚えましょう。

■ 次回は介音「i   u ü」の練習です。

中国の動画は生の材料だと思ってご覧ください。日本語はありませんが練習方法は拼读を体現していて、迫力があって記憶に残ります。

また他の日本人の先生の動画も補足でご紹介します。それは日本人向けでありながら、それぞれがオリジナリティのある切り口でピンインを教えていて、中でも教材として質の高いものを取り上げています。


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